TOKYO CHAINSAW

偏食映画、食い散らかしブログ。

インターステラー

謎世界クリエイター、クリストファー・ノーラン監督による「2014年宇宙の旅」。

 

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自然荒廃が進む未来の地球。

人類は滅亡への道を辿り始めていた。

 

自らの糧を得るため、トウロモコシ農園を営んでいる元宇宙飛行士のクーパーは、娘のマーフと共に、彼女の部屋に送られてくる謎の信号を解読。

それはとある場所の位置情報を示すものだった。

何かに導かれ、クーパーは人類を救うための壮大な旅へ出ることとなる。

 

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ぶっちゃけ、数学や物理学のことは分からないので、もっともっぽく語られてもそれが映画にリアリティを与え、物語のテーマともなる「時空を超えた力」の存在をより印象付けるものになるかは分からないけど、単純に映画として楽しむ時には気にならない。

SFとしてのリアリティの精度で言うと、「ダークナイト」の時の「ゴッサム盗聴システム」や「インセプション」の夢侵入くらいのファンタジーな感じと思おう。

 

 闇に満ちた深淵なる宇宙の恐ろしさと神秘をノーラン節でじっくりと味わえる。

果てしない物語の続きを感じさせつつ、言語化できない余韻を残して、幕が閉じるこの感じ、まさにノーラン!

 

次回作が楽しみ。

 

俳優の話すると、

マーフ幼少期役の子役マッケンジー・フォイちゃんが可愛い。

マーフ大人役のジェシカ・チャスティンも「ゼロ・ダーク・サーティー」の時ばりの闘う女性を演じていて美しい。

 

アフターショック

イーライ・ロス絡みの嫌なディザスター映画。

 

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チリ旅行に来た浮かれたアメリカ人が現地で出会った女の子たちとイチャイチャしてるところに大地震が発生。パニックの中、今度は凶悪犯がわんさか収容されてた刑務所で脱走が起き、街は地震の余波と犯罪者たちの暴力によるカオス状態に突入。

 

地震、暴動、略奪、殺戮、嫌なことのオンパレード。

 

イーライ・ロスってアメリカ以外の国、絶対馬鹿にしてるよねw

東欧とか南米とかの人に謝れw

 

イーライ・ロスによくある、あのパターンあり。

つまり、「あ、そっちがメインなのね?」ってやつ(ネタばれになるから言わない)。

 

度を越して、むしろ笑える暴力の嵐が吹き荒れます。

オチも好き。

 

パブリックエネミーズ

実在したエレガントな銀行強盗、ジョン・デリンジャーのノンフィクション本を映画化した作品。

 

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マイケル・マン監督と言えば、「ヒート」で描いた“男たちの世界”の重厚さに「カッコイイ!!」となったけど、この作品はグッとこなかった。

 

それはきっと、ジョン・デリンジャーの生き様を明確にできなかったからだと思う。

悪党の映画なんだから、悪の美学をきちんと語ってほしかった。

この映画に出てくるジョン・デリンジャーは「悪に身を染めながらも、1人の女を激しく愛した男」としたいんだろうけど、フィクションならともかく、この映画が「ノンフィクション」である以上、史実を丸きり置いてけぼりにする美化には白ける。

 

ジョン・デリンジャーが犯罪を犯し、人を殺す行為に対して考えている、自分なりの「腹決め」、法に縛られない生き方を貫き通す代わりに失わなければいけないものに対する「納得」が語られてない。

 

美しい悪党を描く映画にするんなら、そこの達観した美学を見せてほしかったなあ、と。

 

この映画のジョン・デリンジャーは、自分で起こしたことに一喜一憂しまくるケチでハンサムな小悪党にしか見えない。覚悟がない。

最愛の女が収監されてる時に売春婦と映画デートするんなら、その前に何かしらのピリオドを打ってるんじゃないかな。

そこの味付け、独自の解釈をするのが映画だと思うんだけど……。

キレイごとで装飾されても、何も感動・共感できない。

 

最後に全員のその後がありがちにエンドロール前に流れるけど、

あれだけ強い精神力を持った男として描かれているパーヴィス捜査官の結末について、デリンジャーとの対決の中で彼が心に抱える闇を描けたんじゃないかな。

一瞬、それっぽいシーンはあったけど、あれじゃ何も語られてないのと一緒。

 

ちなみに劇中に何度かある射殺シーンが意外と暴力的でグッド。

あと、パーヴィス捜査官役のクリスチャン・ベールが1人で次元の違うカッコ良さを見せつけてるのと、“ベビーフェイス”・ネルソン役のスティーブン・グレアムが狂ってて良かった。

P2

クリスマス・イブの夜。

 

残業を終えて家族のもとへと急ごうと地下駐車場に降りるアンジェラ。

無人の地下駐車場で、彼女の背後に影が忍び寄り、凄惨なイブが幕を開ける。

 

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ユーモアと激しい人体破壊描写を絶妙なバランスで組みあわせる天才、アレクサンドル・アジャが製作と脚本を担当した、ある主、王道なサスペンスホラー。

 

人体破壊描写はそんなだけど、笑える“激しさ”はバッチリ。

 

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ワンシチュエーションで登場人物も超少ないけど、退屈させない物語の流れが本当に秀逸です。

 

窮鼠が猫を…いや犬を…変態を……。

 

アジャはやっぱ最高だ!!

ラストエクソシズム

1と2について。

 

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イーライ・ロス製作の1は、POVのフェイク・ドキュメンタリー。

悪魔払いのドキュメンタリーを制作中のクルーが、取材対象者であるエクソシスト、マーカス牧師を密着する内に大変な目に遭うというもの。

 

飽和状態になったPOV系の中で、「REC」とはまた違った“悪魔憑き”を取り扱った作品で、アメリカにおける田舎のネイティブな信仰や秘教、独特なキリスト教文化などが入り混じったいかがわしい空気感がステキ。

冒頭のマーカス牧師の紹介のくだりもグッド。

 

POV系によくあるガッカリ感もバッチリで、観た後も安心の苦笑い。

 

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2は、1のストーリーの延長上で進行。

こちらは主観カメラ視点のPOVではなく、通常の第3者カメラ視点での映画作品。

この視点チェンジ、「なぜ?」と思ったけど、1と2続けて観たらちょっと面白いかも。

 

淡々と進行しつつも、ジワジワと不吉な空気で満ちていき、またまたバツグンの置いてけぼり感で幕が閉じる。

 

個人的には、あの終わり方はツボだけど。

フッテージ

ずしりと重い恐怖がのしかかる。

これは、いい。

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一花咲かせたきり、パッとしないドキュメンタリー作家、エリソン。

もう後がない彼が次作の題材にと家族全員で移り住んだ家は、迷宮入りした一家惨殺事件が起きた、いわくつきの物件。

この家では、かつて何者かによって一家全員が庭の木に吊るし首にされ、幼い1人娘だけが忽然と姿を消したという。

取材執筆を続けるエリソンは、家の屋根裏で複数の8mmフィルムを見つける。
そこには凄惨な一家惨殺の一部始終が残されていた…。

そんな感じで始まるんだけど、この記録フィルムたちの映像がヤバイ。
見ちゃいけないものを見てしまって、もう後戻りできない感覚を、主人公エリソンと共にじっくり味わいつつ、深い奈落の底に落ち込んでいく感じ。

原題は「SINISTER」。
不吉な、縁起の悪い、悪意のある、邪悪な、などの意。

まさにまさに、なタイトル。

見終わった後の何とも言えない余韻を味わいたくて、立て続けに2度観た。

おっかねぇ映画です。