フューリー
「今までで、最高の仕事だ!」
死ぬ覚悟を持って、300人のドイツ兵に立ち向かう、たった5人の戦車乗りたち。
望むか望まないかは関係なく、戦争を通じて戦闘のプロフェッショナルになった彼らが、目の前に置かれた仕事をやり抜くことこそが、終わることなく続く戦闘の日々に終止符を打つ行為につながると信じて、打って出る。
とにかく、戦車を中心とした戦闘の迫力が凄い。
いくつかある戦闘シーンの中でも、ドイツのティーガー戦車との対決は、当時ティーガー戦車がどれぐらい恐れられていたかを伺い知ることができる内容。あんなのに遭遇したら、おしっこ漏らすわ。
あと、人体破壊描写が凄まじい。
肉袋がバッシャバッシャ弾け飛ぶ、弾け飛ぶ。
下手なスプラッターより酷い。
始まりから終わりまで、あのシャーマン戦車の狭い車内にウォーダディたちと一緒に乗り込んで全てを目撃しているかのような、息苦しさと恐怖、緊迫感、高揚感が続く。
戦争の圧倒的な暴力を言葉ではなく、鉄と火薬と血と肉で描いた映画。武骨。
『ゼロ・グラビティ』でアカデミー賞を受賞したスティーブン・プライスによる音楽がすばらしい。
鋼鉄が軋むような不穏な音、ヨーロッパの暗い鉛色の空を想像させる重いビート、戦場を包みこむ硝煙を思わせる弦楽の広がり。
特にエンドロールがやばい。あそこまで食い入るようにエンドロールを観たのは久しぶりだったな。
そして、とにかく、ブラッド・ピット演じるウォーダディが教えてくれる「男の仕事」の美学にグッと来る。
男は退かない、仲間を信じて、仕事はやり遂げる。
来年はウォーダディを見習って、より良き社畜として働きたいと思います。