TOKYO CHAINSAW

偏食映画、食い散らかしブログ。

レギオン

堕落した人類を1人残らず葬り去るため、神は天使の軍団を地上へ送りこむ。
神に見捨てられた人間たちが、慈悲なき天使たちに総攻撃を食らう、人類滅亡映画。

 

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そんな神に見捨てられた、人類の唯一の味方が大天使ミカエル。
彼だけは人間たちを信じ、神の意志に背いて堕天してまでも、天使軍団との壮絶なる戦いに挑む。


とにかく、天使たちが怖い。

愛憎ひっくり返るとここまでやるか……ってくらいに人間に対する敵意むき出しで、めちゃくちゃ恐ろしい姿で襲ってくる。
天井四つん這いばばあ、蜘蛛っぽい異形のアイスキャンディー屋さん、などなど、「おっ……おっかねえ!!!」と思わず叫びそうになる。

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銃撃で殺せるところがお茶目だけど。


大天使ミカエル役は「ダヴィンチコード」でアルビノのオプス・デイ修道僧役が印象的だった俳優ポール・ベタニー
本作の監督スコット・スチュワートと、後に「プリースト」でもコンビを組んでいる。

腹筋バリバリのミカエル先輩は、重火器で同胞たちを激しく銃殺しながら、砂漠のカフェで生き残った人間たちを守り抜く。

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とにかく熱いのが、その心意気。

彼は神の意志に背きながらも、かつて彼に人間への愛情を教えてくれた神さまが、きっと思い直してくれるはずだと信じて、戦い続ける。
「神さま、目を覚ませよ!!」と念じながら、天使軍団を次から次に殺していく。

アクションシーンだけでなく、戦いの合間のミカエルの回想シーンや、主人公の青年とミカエルの対話なども印象深い。

なぜ、戦いの場をこのカフェに選んだのか。
後々その理由が明らかになるんだけど、それは観てのお楽しみ。

見どころがたくさんある作品なので、何回も観ちゃったな。

プリースト

永きに渡るヴァンパイアとの戦いに勝利し、修道会によって支配される、高い壁に囲まれた要塞都市の中で、つかの間の平和を享受していた人類。

 

しかし、沈黙を破り、再びヴァンパイアの脅威が迫る。

 

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ヴァンパイアの復活を信じようとしない修道会の意に反し、その真偽を確かめるべく立ち上がる、最強のヴァンパイア・ハンター“プリースト”。

再び、人類とヴァンパイアたちの死闘が始まる。


……という設定で、それ以下でも、それ以上でもないストーリーで進行して終了するステキにB級な作品。

 

『デイブレイカ―』同様に世界観が独特で面白く、中世×未来、ファンタジー×SFのギャップが上手いバランスで溶け込んでる。

 

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ヴァンパイア、というか、「獰猛な地底人」風の化け物相手に、カッコよさMAXの体術とハイテク武器で応戦するプリーストにしびれる。

 

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でもまあ、それぐらいしか内容がない映画なんだけど。

 

デイブレイカ―

ヴァンパイアによって、人類がほぼ全滅した未来世界。

 

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生き延びた数少ない人間たちに残された道は、ヴァンパイアたちによって血液工場の資源にされるか、隠れ潜み、絶望的なサバイバルを続けるかの2つに1つ―。

 

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そんな中、ヴァンパイアたちは深刻な血液(食糧)不足と、血液欠乏によって、知性の無いただの化け物に変形してしまう奇病に悩まされていた。

 

主人公のエドワードは、遅々として進まない代替血液の開発研究に従事する研究員(もちろん、ヴァンパイア)。

ある日、人間たちのレジスタンスと出会い、人類とヴァンパイアの未来を大きく変える運命を担うこととなる。

 

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SFホラーってことになるんだと思うけど、SF設定も、ヴァンパイア設定も独自の世界観をちゃんと描けてていい。

ヴァンパイアに襲われる人類ってパートを思いっきり飛び越して、「やべえ、人間たち無計画に乱獲し過ぎちゃった!どうしよう!」とパニくるヴァンパイアたち側の視点から物語がスタートするのが面白い。

 

あ、あとヴァンパイア用に作られたサンプルーフ装甲車両がカッコイイ!

 

ヴァンパイアものは数多くあるけど、基本的なヴァンパイア設定と、それに掛け合わせられる+α設定が非常にバランス良く合体した良作。

 

 

イングロリアス・バスターズ

『フューリー』のウォーダディに並ぶ、ブラピ先輩の鬼軍人ぶり全開作品、『イングロリアス・バスターズ』。

 

アパッチの末裔・レイン中尉(ブラピ)率いる、ユダヤ系アメリカ人を中心とした特殊部隊が、第2次世界大戦後期のフランスを舞台に、ナチスを血祭りに上げる。

 

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タランティーノ監督が「戦争」というフォーマットを使って、お得意のテイストで、緊迫感とヴァイオレンス、ユーモアをごった煮にした痛快作品。

 

見どころは“ユダヤ・ハンター”ランダ大佐。

いくつもの言語を巧みに使いこなし、ジェントルかつチャーミングな面を見せる一方で、ユダヤ人や有色人種などに対しての徹底した冷淡さと残酷さを見せる、その二面性を狂気に満ちた空気感を放ちつつ演じるクリストフ・ヴァルツが最高。

 

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クリストフ・ヴァルツは、その後もタランティーノ監督の『ジャンゴ』で、一応正義サイドではあるものの、絶対的な「力」を行使して、悪人というカテゴリーの人間たちを無慈悲に葬り去るバウンティ・ハンターの役を好演してるけど……きっとあの狂った感じは、そもそもクリストフ・ヴァルツ本人の人格から来ているものなのかも。

おかしいよ、あの人。

 

史実を丸っきり無視して暴走するストーリーが素晴らしい。

まさか、あんな……ねぇ?

 

あ、あと“ユダヤの熊”役でバットをフルスイングしてナチスを撲殺するイーライ・ロスがカッコイイ。

彼はどこに行きたいのか……。

フューリー

「今までで、最高の仕事だ!」


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死ぬ覚悟を持って、300人のドイツ兵に立ち向かう、たった5人の戦車乗りたち。

望むか望まないかは関係なく、戦争を通じて戦闘のプロフェッショナルになった彼らが、目の前に置かれた仕事をやり抜くことこそが、終わることなく続く戦闘の日々に終止符を打つ行為につながると信じて、打って出る。


とにかく、戦車を中心とした戦闘の迫力が凄い。

いくつかある戦闘シーンの中でも、ドイツのティーガー戦車との対決は、当時ティーガー戦車がどれぐらい恐れられていたかを伺い知ることができる内容。あんなのに遭遇したら、おしっこ漏らすわ。


あと、人体破壊描写が凄まじい。

肉袋がバッシャバッシャ弾け飛ぶ、弾け飛ぶ。

下手なスプラッターより酷い。

 

始まりから終わりまで、あのシャーマン戦車の狭い車内にウォーダディたちと一緒に乗り込んで全てを目撃しているかのような、息苦しさと恐怖、緊迫感、高揚感が続く。

戦争の圧倒的な暴力を言葉ではなく、鉄と火薬と血と肉で描いた映画。武骨。


ゼロ・グラビティ』でアカデミー賞を受賞したスティーブン・プライスによる音楽がすばらしい。

鋼鉄が軋むような不穏な音、ヨーロッパの暗い鉛色の空を想像させる重いビート、戦場を包みこむ硝煙を思わせる弦楽の広がり。

特にエンドロールがやばい。あそこまで食い入るようにエンドロールを観たのは久しぶりだったな。

 

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そして、とにかく、ブラッド・ピット演じるウォーダディが教えてくれる「男の仕事」の美学にグッと来る。

男は退かない、仲間を信じて、仕事はやり遂げる。

来年はウォーダディを見習って、より良き社畜として働きたいと思います。

 

ゴーン・ガール

デヴィッド・フィンチャー版『アイズ・ワイド・シャット』×『ロストハイウェイ』……なのか?

 

静かに核心に迫っていく、夫婦の「恐ろしい秘密」の話かと思いきや……予想外の方向に連れて行かれる。


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最愛の相手が何を考えて、何を感じているのか。

二人の間に何があったのか。


言ってしまえば、元は赤の他人同士の「夫婦」という関係。

永遠に知り得ない、お互いの想いが、暴力的な出来事をきっかけに、有無を言わさず白日の下に晒されていく。


感情移入したキャラクターによって、解釈が全然変わる作品だと思った。


不穏に終わるラストのBGM、エンドロール、まさにデヴィッド・フィンチャー


あっけに取られたまま終わる人も多いかも?




マウス・オブ・マッドネス

知っちゃいけないことがある。

 

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ジョン・カーペンター監督による、マトリョーシカ的発狂映画『マウス・オブ・マッドネス』。

 

突如失踪したベストセラーホラー作家サター・ケインの消息を追う保険調査員トレントは、その捜査の中、まるでケインが生み出したホラー世界に放り込まれたかの様な体験をしていく。

 

少しずつ現実世界に浸食してくる悪夢。

あり得ないことがトレントの身の回りで起こり始める。

 

果たしてそれは、トレントの精神が異常をきたしたせいなのか、それとも―。

 

観終わって、今度は映画を観ていた自分の世界に悪夢が浸食してくるかの様な感覚に襲われた。

これってある意味3D、4D映画かも。

 

色んな意味で追いつめられていくトレント役の名優サム・ニールの演技がいい。

 

クトゥルフ神話好きな人ならきっと好き!